ワンポイント
2024.02.20
阪田整形外科リハビリクリニック研修会
関節リウマチは、日本では1900年代にはいってから、出現した疾患と考えられており、免疫の異常により、主に手足の関節が腫れたり痛んだりする病気です。
関節リウマチで生じる関節の腫れと痛みは、免疫の働きに異常が生じたために起こると考えられます。免疫は、外部から体内に侵入してきた細菌やウイルスなどを攻撃して破壊し、それらを排除する働きを担っています。
しかし、免疫に異常が生じると、誤って自分自身の細胞や組織を攻撃してしまいます。それにより炎症が起こり、関節の腫れや痛みとなって現れてきます。
その炎症が続くと、関節の周囲を取り囲んでいる滑膜が腫れ上がり、さらに炎症が悪化して、骨や軟骨を破壊していきます。
炎症の悪化を引き起こすのはIL-6やTNFαなどのサイトカインや蛋白分解酵素(MMPなど)
体内で炎症が生じたときには、サイトカインという物質が過剰に分泌され、それが炎症を悪化させます。
炎症を悪化させるサイトカインにはIL-6(インターロイキン6)やTNFα(ティーエヌエフ・アルファ)などがあり、骨の吸収や破壊を進行させます。
またサイトカインと同様に蛋白分解酵素も増加し、軟骨を破壊します。
※ 関節リウマチと似た関節の痛みを生ずる疾患に変形性関節炎があります。
変形性関節症は関節を構成する軟骨・骨・靭帯などの組織に変性・変形が起こり発症しますが、リウマチのように関節が破壊されることはありません。また、炎症が全身的に起こることもありません。
関節リウマチの治療戦略
リウマチは、徐々に進行する慢性疾患と考えられていました。しかしリウマチによる関節破壊は発症早期に進行することから、早期診断、治療の重要性が高まってきました。
最近、有効性が高く、リウマチの疾患活動性に影響を与える、免疫抑制剤やIL-6やTNFαといったサイトカインの働きを抑え、炎症を鎮静化させる生物学的製剤が開発されています。これらを総称して抗リウマチ薬と呼ばれています。
これに伴い、発症早期から強力な治療薬を用いて、早期の寛解という目標達成を目指すという治療戦略、TREAT-TO-TARGET(T2T)が提唱され、関節リウマチ治療のゴールドスタンダードとなりました。
担当: 藤本 森岡