令和5年7月26日に 腰部脊柱管狭窄症と慢性疼痛について勉強会をしました。|明石市で整形外科なら阪田整形外科リハビリクリニックにご相談ください。

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令和5年7月26日に 腰部脊柱管狭窄症と慢性疼痛について勉強会をしました。

ワンポイント

2023.08.12

≪腰部脊柱管狭窄症≫
腰椎部の脊柱管あるいは椎間孔が狭くなり、そこを通る神経が圧迫されることによって神経組織の障害あるいは血流の障害が生じ、腰痛や下肢痛やしびれなど様々な症状が現れると考えられている。

腰部脊柱管狭窄症は組織の炎症などにより刺激されて起こる侵害受容性疼痛(主に急性疼痛)と神経の損傷や疾患によって起こる神経障害性疼痛(主に慢性疼痛)の要素を合わせた疼痛であるため混合性疼痛と称されることもある。
≪侵害性受容性疼痛≫
外傷・骨折・関節リウマチ などの疾患
≪神経障害性疼痛≫
帯状疱疹・三叉神経痛・糖尿病などの疾患
≪混合性疼痛≫
腰部脊柱管狭窄症・変形性関節症

≪タイプと症状≫
腰部脊柱管狭窄症による神経障害は
神経根型・馬尾型・混合型に大別でき
それぞれ症状が異なる。

神経根型
脊柱管の狭窄により神経根が圧迫されるタイプ。
症状は片側的である事が多く、長時間の立位や歩行時に圧迫側の腰から臀部・下肢にかけて強い痛みやしびれが現れる。長時間の歩行で痛みやしびれが増強し歩行が困難になるが、腰を掛けたり前傾姿勢で休憩したりすると再び歩行が可能になる間欠性歩行を呈する。

馬尾型
馬尾と呼ばれる神経の束が圧迫されて症状が出現するタイプ。症状は両下肢・臀部・会陰部・足底など広い範囲にしびれや感覚異常が現れこちらも間欠性跛行を呈する。更に下肢の脱力や排尿・排便障害が見られることもある。
加齢とともに周辺組織の変形が進み、脊柱管は狭くなるため高齢になるほど症状が現れやすい。脊椎の自覚症状などで医療機関を受診した患者において80歳以上では男性65.8%女性57.5%で腰部脊柱管狭窄症が認められている。

≪診断≫
診断に有用な病歴として『中高齢者』で『臀部下肢に痛みやしびれ』があり『立位や歩行で症状が増悪』し、『座ったり前傾姿勢になったりすると症状が軽減する』ことが挙げられる。
また、症状の中で腰部脊柱管狭窄症による間欠性跛行血行性間欠性跛行との鑑別が重要である。

≪腰部脊柱管狭窄症による間欠性跛行≫
立位や歩行時に腰の神経が圧迫されることで下肢の痛みやしびれが現れ、歩き続けることが出来ない状態。腰を曲げて前かがみで少し休むと症状が軽快するのが特徴。

≪血行性間欠性跛行≫
閉塞性動脈硬化症という病気によるもので足の血管に動脈硬化がおこって血の流れが悪くなり筋肉に血液と酸素が十分に行き渡らず筋肉が酸素不足をきたすことで痛みが生じる。こちらは前かがみにならずとも立ち止まるだけで症状が軽快するのが特徴。

≪治療≫
保存療法には・・・

  • 運動療法・・・体幹・下肢の柔軟性改善、体幹筋力(インナーマッスル)の強化
  • 装具療法・・・腰部固定帯・軟性コルセット(最近はあまり行われていない)
  • 物理療法・・・牽引・温熱治療・ホットパック
  • ブロック療法・・・硬膜外ブロック・神経根ブロック
  • 薬物療法・・・NSAIDsを神経根型や腰部痛有する患者に短期間投与する。馬尾型の患者には投与しないとされている。

保存治療による効果が乏しい場合、馬尾型や混在型で感覚異常や排尿・排便障害が認められる場合には観血的治療(手術)が選択される。

≪慢性疼痛≫
慢性疼痛とは、治療に要すると思われる時間を超えて持続する痛みのことで明確な基準はないが通常は発症から3か月以上続く痛みと考えられている。慢性疼痛には侵害刺激が持続的または反復的に作用している病態と、組織損傷の所見がないあるいは治癒しているにも関わらず、自発的な痛みが持続する病態がある。前者は上述した侵害受容性疼痛が主体であり、NSAIDsや観血的治療が奏功します。一方で後者では痛みの警告信号としての役割や器質的問題との因果関係は消失し、更に、心理的・社会的要因が関与していることもあり、NSAIDsや観血的治療は向こうの場合が多く、痛みの除去は容易ではありません。また慢性疼痛に非器質的(精神的)要因がどの程度関与しているかを明らかにすることも容易ではありません。

質問・疑問があればお気軽にお声がけください。

担当: 西村・山田