ワンポイント
2023.06.20
大腿骨近位部の骨折は、発生部位により、
1,骨頭骨折
2,頚部骨折
3,転子部 骨折
4,転子下骨折 に分類されます。
1,骨頭骨折や4,転子下骨折は交通事故など大きな外力によって生じ、頻度は少な いです。
2,頚部骨折や3,転子部骨折は転倒などの軽微な外力で起こる骨折は、女性に多 く、高齢化に伴い日本では今でも増加しています。
今回は特に、大腿骨頚部骨折について報告します。
大腿骨頚部骨折は骨粗鬆症を有する高齢者が転倒することで生じることが多い骨折で す。
最近では、骨粗鬆症高齢者で軽微な、外傷すら伴わない不顕性骨折(単純なレントゲ ン写真では明らかにできない骨折)も増加しており、骨盤(恥骨、坐骨、仙骨)の脆 弱性骨折を認めるケースも増えています。
頸部骨折は、骨の癒合がしにくく、人工関節に置換する手術が行われることが多いで す。
以下の理由で骨癒合がしにくくなっていま す。
① 骨折部が関節内の為、骨膜の血行が乏しい。
②主に血行を得ている内側大腿回旋動脈が骨折の 為に損傷されやすい。
③骨折線にしばしば剪断力(ずれ力)がかかる。
④起草に高度の骨粗鬆症を持つ患者が多く、正常 な骨癒合が期待しにくい。
ここで骨折(画像参照)すると、骨頭に 栄養が行かない為、壊死する場合がある。
頸部骨折の分類には、Garden分類がよく用いられます。
若年者では、極力、骨頭を温存し、骨接合を選択します。
高齢者でStageI、IIの非転位型では骨接合、III、IVの転位 型では、人工関節置換術が行われます。
担当:能勢 森岡