ワンポイント
2022.12.08
頚椎(けいつい)の機能解剖
〜頚椎について〜
頚椎は頭蓋と体幹を連結し、計7個の頚椎(C1〜C7)からなります。
瞬時に細やかな運動(屈伸・回旋・側屈)が必要になるため強靭な靭帯・筋組織よる保護が少なく、後方に僧帽筋や肩甲挙筋が大きく付着しているため弯曲異常(ストレートネック等)をきたしやすくなっています。
頚椎の椎体後側方で椎間孔に相対する部分には鉤椎関節(Luschka関節)と呼ばれる小さな滑膜関節があり変性に伴い骨の変形(骨棘)が生じ、椎間孔が狭くなり、神経根が圧迫されることがあります。
☆この骨棘により横突孔にて椎骨動脈も圧迫されることがあり、椎骨脳底動脈不全による一過性のめまいや意識消失発作の原因になることもあります。
<頚椎症状>
寝違い、肩こり、頸部痛、肩甲骨部痛、頭痛など様々な訴えがあるが、通常安静時の疼痛は少ないとされています。安静時の強い痛みがある場合は感染などの炎症性
疾患や腫瘍、神経の強い圧迫を疑います。
☆寝ていて首を動かしていないのに痛い!と感じる時は我慢をせずに早期受診をしましょう!
<神経症状>
神経症状には脊髄症と神経根症があります。
〜脊髄症〜
脊髄が障害されることで生じます。しびれや手指巧緻運動障害(例:ボタンの付け外しが難しい、新聞紙をめくる動作が難しい、物をつまむことが難しいなど)、痙性歩行を認めます。また、仙髄(S2〜S4)に影響するほどの脊髄の圧迫がある場合は直腸膀胱機能障害(尿意切迫・頻尿・排尿開始遅延・便秘など)を生じることもあります。
〜神経根症〜
神経根が障害されることで生じます。各神経根の支配領域の疼痛を生じます。
<問診>
問診では、上肢、肩甲背部への放散痛や、疼痛の程度、頚椎の肢位による痛みの増減、痺れを感じる部位を聴取します。
頚椎由来の神経根症では下肢の痛みは見られませんが、脊髄症では前屈位(頸部を前に曲げる)で下肢や体幹への電撃様の異常感覚が放散することもあります。
視診では、歩行の異常の有無やレントゲンでの頸椎アライメント(頚椎の位置が正常か)、上肢・肩甲体の筋萎縮有無などを確認します。
<疼痛部位を確認するテスト>
Spurling テスト:頭部を痛みや痺れのある側(患側)に傾けかつ後ろに曲げながら圧迫していき上肢に放散痛がないか調べる。
Eatonテスト:頭部を疼痛や痺れのない側(健側)に倒し痛みや痺れのある側(患側)の肩を押し下げる。
<神経学的診察>
四肢深部反射、感覚検査、筋力テストがあります。
~筋力テスト~
徒手筋力テスト(MMT)で評価する。特に重要視される筋肉として、
肘屈曲力の低下⇨C5 手関節背屈力の低下⇨C6 肘伸展力低下⇨C7 中指DIP屈曲力低下⇨C8 小指外転力の低下⇨T1の障害があるとしています。
医學事始より引用
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