ワンポイント
2022.11.21
股関節の機能解剖
寛骨臼と大腿骨頭で形成され、球関節の一種である球状関節に分類される
①頚体角
②CE角(骨頭中心の垂線と寛骨臼外側縁との成す角)
③Sharp角(左右涙痕下端の接線と涙痕下端と寛骨臼外側縁を結ぶ線との角)
股関節に影響するもの
体幹と下肢をつなぐ関節で、変形性股関節症などの疾患による疼痛や可動域制限が生じると日常生活に影響が起こる。また、脊椎や末梢にある膝や足部にも影響がある。危険因子として肥満・スポーツ・重量物を扱う職業・臼蓋形性不全などがある。
変形性股関節症に対しての運動療法
・股関節の運動時痛のため歩行を控え、疼痛を回避しようと跛行が出現する。(トレンデレンブルグ跛行やデュシャンヌ跛行)→股関節周囲筋の筋委縮・筋力低下が起こる→さらなる疼痛の悪化につながるため、股関節周囲筋の筋力強化は必須である。しゃがみ込み動作が困難な場合は、和式トイレを洋式トイレに変更する。
股関節周囲筋に対しての運動療法は即効性がなく、最低3か月の継続が必要である。また運動療法はどうしても疼痛の誘発が出現するため、患者に合わせて運動強度の調節は必要である。
・日本整形外科学会では週2~3回の水泳や水中歩行、自転車エルゴメーター(サドルを高めに設定)などを行うことも有効とされる。
自転車エルゴメーター
・症状の出始めが30~50歳代であることを考えると、運動療法実施期間後に全く行わなければ、再度筋力低下を引き起こし疼痛の再発や機能低下していく可能性が高い。自宅で可能な運動は簡単に実施できる半面、その単調性から飽きて継続しない可能性があることが課題である。
歩行における股関節安定化筋
・股関節の安定化とは、寛骨臼に大腿骨頭が正しくはまっていることである。この状態に対して主に梨状筋が張力を発揮するが、仙腸関節と股関節をまたぐ2関節筋であるため安定化筋として働きにくい。そのため股関節を安定させるシステムとして他の筋の合力で大腿骨頭を寛骨臼に押し込む。そのときに働く筋が股関節安定化筋群である。右図の➀の方向に運動したいが筋肉が小さく鍛えることが難しいため、②と③の方向の筋肉を鍛えることで①の方向に導くことが可能となる。
・股関節外転筋群は歩行時において骨盤を安定させる。中殿筋は外転筋群の面積の約6割を占める。他にも小殿筋が約2割、大腿筋膜張筋が約1割、梨状筋・縫工筋が約1割を占める。股関節外転筋群の弱化が股関節の不安定性を増強するため、特に安定した歩行や股関節可動性に向けては股関節外転筋群の筋力増強が必要である。
股関節外旋運動 90°パターン 外に捻じる
股関節外旋45°パターン 外に捻じる
股関節外転(中殿筋) 外に開く
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