ワンポイント
2021.10.27
1.肘関節の骨性構造
肘関節は上腕骨遠位端と尺骨及び橈骨の近位端からなる
① 腕尺関節
蝶番関節で上腕骨軸に対し関節面が7°外反6°内旋している
肘外偏角 肘関節伸展、前腕回外位で上腕と前腕のなす角度。肘外偏角があることで、水の入ったバケツを持ったり、肘を曲げて手を口に持っていける
② 腕橈関節
球状関節で、外反を矯正された時の二次的な安定装置である
③ 近位腕尺関節
車軸関節で、前腕の回内回外運動を可能にする
2.肘関節の靭帯
内側の内側側副靭帯、外側の外側側副靭帯、尺骨と橈骨を連結する輪状靱帯が重要
3.肘関節の運動にかかわる筋
① 肘を曲げる筋 上腕筋、上腕二頭筋、腕橈骨筋がある
② 肘を伸ばす筋 主に上腕三頭筋が働く
③ 前腕を回内する筋 最初に回外筋が働き、上腕二頭筋も補助的に働く
④ 前腕を回内する筋 最初に方形回内筋が働き、次に円回内筋が働く
4.肘関節周囲の神経
①正中神経 ②橈骨神経 ③尺骨神経 がある
よく見られる小児の肘の疾患をご紹介します
5.肘内障
2から6歳の小児の手を急に引っ張る時に発症する。肘に腫脹はないが、動かそうとすると痛がり、患肢を下垂し、肘を曲げようとせず、触れられるのを嫌がる。肩を広げることも嫌がるため、肩の脱臼と勘違いすることもある。
6.野球肘
10~16歳、ピッチャー、キャッチャー歴のある少年によく見られる。
症状の部位により3つに分類される
①内側型 内側側副靭帯の牽引力による剥離骨折、靱帯損傷
②外側型 上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎、関節内遊離体
③後方型 肘頭骨端線閉鎖遅延、肘頭疲労骨折、骨棘形成
予防は、投球数の制限、早期発見と治療期間の投球禁止が重要
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担当:笠井 森岡