ワンポイント
2021.04.01
骨粗鬆症による高齢者の脆弱性骨折は高齢者が要介護に至る主な原因の1つ。
従ってQOL(生活の質)の維持・向上を図るために骨粗鬆症の治療が必要になる
【薬物治療開始の基準】
①骨密度に関係なく、大腿骨近位骨折や椎体骨折に脆弱性骨折がある場合
②上腕近位・橈骨遠位・肋骨・恥骨座骨などに脆弱性骨折があり、骨密度がYAMの80%未満の場合
③骨密がYAMの70%以下である場合
※YAM(若年成人平均値)とは?
腰椎では20~44歳・大腿近位では20~29歳の平均基準値
【骨粗鬆症の治療を始める前に】
・力学的負荷
骨量を維持するために骨に衝撃を与えることが重要であり簡単におこなえる運動がおすすめ
≪かかと落とし≫
≪おなか引っ込め体操≫
・6か月に1度の血液検査により骨代謝マーカーを計測
カルシウム・ビタミンDの不足の有無を確認し栄養管理を行う
特にカルシウム吸収に必要なビタミンDは不足していることが多く日光をたくさん浴びたり、ビタミンDを多く含む食品の摂取をおすすめします。
≪カルシウム 1日650~800mg≫
食事中のカルシウムが不足すると貯蓄してる骨から取り出し血中のカルシウム濃度を一定に保とうとする。
しっかりカルシウムを摂取し貯蓄分を増やすか無駄使いを防ぐことが重要。
インスタント食品・清涼飲料水・スナック菓子に多く含まれるリンやアルコールの過剰摂取で尿と一緒に体外に出やすい。
≪ビタミンD 1日5.5μg≫
カルシウムの吸収を高めるとともに尿中へのカルシウム排出を減らす。
油と一緒に吸収されやすいため炒め物がおすすめ。
サプリメントでの過剰摂取は脳卒中・心筋梗塞の発生率が高まるので食品からの摂取がよい。
【骨粗鬆症の治療】
骨粗鬆症の治療目的は骨密度の低下を抑え骨折を防ぐことにあります
骨粗鬆症の発病には食事・運動などの長年の習慣も深く関わるので、薬物療法とともに並行して骨密度を高めていくことが重要です。
食事療法・運動療法をしっかりと行ったうえで骨密度・血液検査の結果などから骨の状態や原因によって適切な治療を選択します
≪骨吸収抑制≫
骨吸収がゆるやかになると骨形成が追いついて新しい骨が骨の吸収された部分にきちんと埋め込まれ骨密度の高い骨が出来上がります
選択的エストロゲン受容体モジュレーターSERM・カルシトニン薬
ビスフォスフォネートBP製剤・抗RANKUL抗体が使用される
▼ビスフォスフォネートBP製剤・抗RANKUL抗体で起こり得る有害事象)
①顎骨壊死:骨吸収抑制薬関連顎骨壊死
抜歯など侵襲的歯科治療後に発生することが多く飲酒・喫煙・糖尿・肥満・口腔内衛生不良が原因因子ともいわれている。
発症率は1万人に1人。
②非定型大腿骨骨折
長期服用にて骨組織の修復が出来にくくなり大腿骨転子下または骨幹部で骨折を生じることがある。
発症率は10万人に3~5人。
≪骨形成促進≫
骨の新陳代謝において新しい骨を作る『骨形成』を促進し骨密度を上昇させます
副甲状腺ホルモンPTH・抗スクレロスチンが使用される
骨粗鬆症の治療は1~2年といった長い治療で効果が表れます
なかなか骨密度が上がらないからと自己判断で薬を中断せず根気強く継続しましょう
質問・疑問があればお気軽にお問合せください
担当 松山・山田