ワンポイント
2021.03.01
1.概念
超高齢社会の日本では、「寝たきりにならない状態、心身ともに自立した生活・活動期間である健康寿命の延伸」が望まれています。健康寿命を阻害する因子として骨粗鬆症とそれを基盤とする骨折が大きな割合を占めることから、骨粗鬆症は日常生活を不自由にし、生活の質を低下させ、健康寿命の低下を招く重篤な疾患」ととらえることができます。
2.骨粗鬆症の定義
骨粗鬆症は「骨強度の低下を特徴とし、骨折の危険性が増大しやすくなる骨格疾患」と定義されています。
骨強度は骨密度+骨質で表されます
骨密度とは骨を構成するカルシウムなどのミネラル成分の詰まり具合を指し、骨の単位面積(㎠)当たりの骨塩量(g)で算出されます。
骨質を決めるのは、骨の単位面積あたり50%を占めるコラーゲンの分子どうしを結びつけるの梁(はり)の役目をする架橋といえます。
※ 骨を鉄筋コンクリートの建物に例えると、カルシウムはコンクリート、コラーゲンは鉄筋にあたります。骨を強くするためには、カルシウムで骨量を増やすだけでなく、コラーゲンで骨質を高めることは必要です。
3.骨粗鬆症の疫学
骨粗鬆症は遺伝的要因、加齢、閉経後の女性ホルモンの減少、生活習慣など多くあり、男性よりも女性に多い疾患です。
骨粗鬆症が原因で起こる骨折は背骨(椎体)骨折が最も多く、次いで大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折、上腕骨近位骨折、骨盤骨折などがあります。そして、大腿骨近位部骨折は現在も増加傾向にあります。
一度、骨粗鬆症による骨折を起こすと、「骨折連鎖」と呼ばれるように、次の骨折が起こりやすくなります。また、骨折により運動機能や内臓機能が低下し、心理面でも転倒や再骨折の不安をもたらすため、要介護になる原因となります。
症状がないまま進行していることが多いので、骨の状態を定期的に調べ、予防や治療をしていくことが大切です。
当院では、腰椎と大腿骨頭部で骨密度の測定や、血液検査などで、骨粗鬆症の診断、治療方針を決めています。また、WHO(世界保健機構)が開発した、骨粗鬆症の判定ツールであるFRAXが処置室前、物理療法室に配置してありますので、是非お使いください。
生活環境を整え、骨折しにくい体つくりを心がけていきましょう。
質問、疑問等ございましたら、いつでもお問い合わせください
担当:宮脇 森岡