ワンポイント
2020.01.22
<温熱療法とは>
熱、電磁波、音波などの熱エネルギーの作用で循環の改善や疼痛の軽減を図る療法です。
<温熱療法の分類>
熱の透過性による分類
①表在熱 例)ホットパック、赤外線
(ホットパック)
②深部熱 例)マイクロ波、超音波、過流浴
(マイクロ波) (過流浴)
当院では上記の温熱療法を行っています。
<温熱療法の局所的作用>
・組織代謝の亢進:温度が1度上昇すると組織代謝は13%上昇するとの説もあります。
・血管の拡張:組織の栄養、酸素の運搬、 組織からの代謝産物、熱の排出
・軟部組織の伸張性増大:温熱によって軟部組織の伸張性は増大するので、入浴後のストレッチングはあながち間違いではないようです。
・神経伝導速度の増大:神経の伝導速度は温熱で増大し、寒冷で低下すると言われています。
・鎮痙作用:温熱によって筋のリラクゼーション(筋緊張の低下)が望めます。
・組織の熱性障害:「適度な温熱」が重要で、注意が必要です。過度な温熱刺激は「侵害刺激」で、皮膚に痛み・発赤・壊死などを起こします。
ちょうどよい温熱の強度でも、同じ部位に長時間当てていることで低温やけどを起こす場合もあり、長時間の夜間のこたつやカイロの使用など注意が必要です。
<温熱療法の全身的作用>
温熱による全身的影響に関しては、入浴時がイメージしやすいです
・体温上昇
・発汗
・末梢血管の拡張
・心拍数と心拍出量の増加
・血圧低下
・脳・腎臓・消化器系への循環減少
<温熱療法の適用>
・痛みの緩和
・痙縮の軽減、筋緊張の緩和
・軟部組織の伸張性増大(拘縮の改善)
・創傷の治癒促進(血流増進による効果)
<温熱療法の禁忌>
・急性炎症:炎症が助長される
・悪性腫瘍:腫瘍の助長を促す
・感覚障害と意識障害:熱傷の危険が高い
・出血傾向:止血しにくくなる
・循環障害・動脈硬化:熱傷の危険が高い。相対的に虚血状態になり、壊死に至る危険もある
温熱療法は痛みの緩和などメリットがありますが、熱傷を起こす危険性もあるため注意が必要です。
☆何か分からないことがあれば、お気軽にスタッフにお尋ねください。
担当:宮脇、小石原