ワンポイント
2018.07.28
その中で、今回は「手根管症候群」と「肘部管症候群」について、ご紹介します。
手(しゅ)根管(こんかん)症候群
指先の感覚や手の運動に重要な役割をする正中神経が障害される結果、しびれや痛みなどの症状をきたす病気。
<症状>
母指(親指)、示指(人さし指)、中指、環指(薬指)の母指側のしびれ、感覚の低下があり、特に就寝時や早朝に強い。
母指と示指できれいなOKサインが作れない など。
<原因>
手の使い過ぎ。
妊娠、閉経などによる特発性が多く、中年女性に多い。
他にも、関節リウマチによる腱鞘炎や、透析を受けている人における滑膜炎やガングリオン、手根骨の脱臼や変形性関節症がある。
<検査・診断>
次のテストで陽性を認める場合
・チネル徴候・・・手首の手のひら側を軽く叩くと指先にしびれや痛みが放散する
・ファーレンテスト・・・身体の前で両手の甲を合わせて1分間その状態を保つ間に、しびれを感じたり、そのしびれ感が強くなったりする
画像検査(MRIやエコー)
<治療>
症状が軽い場合は安静を保つ(負荷をかけない・固定する)などの保存的療法、ビタミンB12の服用を行う。
改善しない場合や痛みの強い例は薬物治療、手術(手根管開放術)を行う。
肘部管(ちゅうぶかん)症候群
手の指先の運動や感覚を司る尺骨神経(上腕~指先に広く分布しているが特に肘の辺り)に障害が生じることによって、しびれや痛みなどの症状をきたす病気。
<症状>
小指、環指の小指側のしびれや痛み(肘を曲げている状態では痛みが強くなる)。
骨間筋の萎縮、環指・小指の鉤爪変形。
<原因>
肘部管を通る尺骨神経が、肘に慢性的な負荷がかかることで圧迫され、おこる症状。
肘の酷使、骨折などの外傷、変形性関節症による骨棘形成、肘部のガングリオン(腫瘤)など。
<検査・診断>
次のテストで陽性を認める場合
・フロマン徴候・・・両手の母指と示指で紙をつまみ引っ張る動作をした時、母指がまっすぐ保てない
・指交差テスト・・・指を伸ばした状態で環指と小指を交差出来ない
・肘間部のチネル徴候・・・肘の内側を軽く叩くとしびれや痛みが指先に放散する
・肘屈曲テスト・・・肘を折り曲げ、手関節を外側に曲げていると3分以内に症状の悪化がある
画像(レントゲン、MRI、エコー)検査、筋電図検査 など
<治療>
骨折や腫瘍など明らかな原因がない場合は安静を保つなどの保存的療法、肘屈曲位の作業で
症状が出る場合は肘を90°以上曲げない様に(例:職場の椅子を高くするなど)する。ビタミン
B12の服用。
変形性関節症、外反肘、ガングリオンを伴う場合で、運動麻痺、筋萎縮、伝導速度の低下のう
ち1つでもあれば手術を行う。
疑問・質問等あればいつでもお尋ねください。
担当:片岡 中村